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仙台高等裁判所 昭和25年(う)738号 判決 1950年11月14日

被告人

川久保功

主文

本件控訴は之を棄却する。

理由

弁護人勅使河原直三郎の控訴趣意第五について。

検察官の起訴状朗読後被告人の所謂冐頭陳述に際し又は証拠調に入る前に於て為す裁判官の質問は公訴事実に対する認否を質し争点を明かならしむる限度に止むべきことは所論の通りであつて、原審公判調書に依れば原審は証拠調に入る前に右の限度を越えて被告人の前科、経歴、家庭の状況等について問を発し被告人の供述を求めていることが明かであるから、原審の斯る措置は新刑事訴訟法の精神に反する違法の手続であると謂はなければならない。然し本件に於ては記録全体を通じ原審が右により予断を抱いたものとも認め難くまた特に不公正な審理や判断をしたとも思われないから、此の違法は判決に影響を及ぼさないものと解するのを相当とする。結局論旨は理由がない。

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